佐原の歴史的な町並みが続く通りに、「加納屋服地店 本店」はあります。
格子越しに店内をのぞくと、棚いっぱいに並んだ生地が目に入り、長年この場所で商いを続けてきたことが自然と伝わってきます。
かつては生地専門店として、地域の人々の衣服づくりを支えてきた加納屋服地店。
現在は生地の販売に加え、学生服の取り扱いや仕立ての注文にも応じながら、佐原の暮らしに寄り添う存在であり続けています。

今回お話を伺ったのは、店を営む加児宏さんです。
静かな語り口の中に、長くこの仕事と向き合ってきた時間が感じられました。
ゆーみん:
本日はありがとうございます。
今回、まちぐるみ博物館に登録されている店主さんにお話を伺いながら、
「どんな方がこの町でお店を続けているのか」を記事として残していきたいと思っています。
まず、これまでのご経歴を教えていただけますか?
加児さん:
ここは家の店だったので、見習いに行って、それからずっとこの店をやっています。
ゆーみん:
見習いを経て、ずっとこのお店を続けてこられたんですね。普段はどのような働き方をされていますか?
加児さん:
水曜日の定休日以外は、基本的に店に出ています。
店を続ける中で、大きな転機となった出来事もありました。
加児さん:
駅前にショッピングセンターがあって、そこの2階で長く営業していたんですが、平成16年に閉店してしまって。
それで、本店だったこの場所を改装して、店を移しました。
拠点を移しながらも、加納屋服地店は変わらず生地と向き合い続けてきました。
ゆーみん:
お店として大切にしていることは何ですか?
加児さん:
やっぱり接客ですね。お客様の要望になるべく応えることだと思っています。
ここに移ってきてからは、お客さんと話す機会も増えました。

加納屋服地店は、生地専門店としての役割を今も大切にしています。
ゆーみん:
加納屋服地店はどのようなお店ですか?
加児さん:
もともとは生地専門店です。今は学生服も扱っていますし、仕立ての注文も受けています。
うちの生地を使って、お客様の寸法に合わせて、スーツやワンピース等の生地を販売してきました。
地域の高校や中学校の学生服も取り扱い、日常の暮らしに密着した店としての役割も担っています。
まちぐるみ博物館としての取り組みについても伺いました。
ゆーみん:
加納屋服地店のまちぐるみ博物館では、どのような展示をされていますか?
加児さん:
鎧を展示しています。先代の社長が購入したもので、詳しいことは分からないんですが、それを飾っています。
姉がまちぐるみ博物館の活動に関わっていたこともあって、うちも初期の頃から参加しています。

特別に目立つものではなくても、そこにある一つひとつが店の歴史の一部です。
ゆーみん:
加児さんご自身の強みや、大切にしてきたことは何でしょうか?
加児さん:
お客様の身になって考え、できるだけ要望に応えることです。
これは昔お世話になった駅前のお店でお客様から学んだことでもあります。
言葉は多くなくても、その一言からは長年の積み重ねが感じられました。
取材後記
加納屋服地店は、生地を売る店であると同時に、仕立てという文化を守り続けてきた場所でもあります。
時代の変化とともに、仕立てを依頼する人は減ってきていると言います。
それでも、生地と向き合い、お客様一人ひとりに合わせたものづくりを続けてきた時間は、この町の営みの一部として確かに存在しています。
まちぐるみ博物館の展示もまた、特別なものというより、「店が続いてきた証」のような存在です。
店内に並ぶ生地と、それを見守る加児さんの姿からは、この町で商いを続けてきた静かな誇りが伝わってきました。
佐原の町を歩くとき、ぜひ加納屋服地店にも足を止めてみてください。
そこには、生地と共に積み重ねられてきた時間があります。
