小野川沿いの町並みの中に、静かに佇む「並木仲之助商店」。
格子や柱、店の空気感には、長い時間の積み重ねがそのまま残されています。
観光地として整えられた場所というよりも、「今も使われ続けている生活の場所」であることが、建物の隅々から伝わってきます。
もともとは荒物屋として営まれてきたこの店には、当時の名残が今も空間の中に息づいています。
建物そのものが、並木家の歴史を語り続けているようでした。
今回お話を伺ったのは、現在この店を守るように日々立っているおかみさんです。
並木家のご家族ではありませんが、先代の頃から長年この店に関わり、今も変わらず店を支えています。

大内:
本日はありがとうございます。
今回、まちぐるみ博物館に登録されているお店を回って、店主さんやお店のことを記事として残したいと思い、お話を伺っています。
おかみさん:
そうなんですね。私はこの家の者ではないんですけど、先代の頃からここで働いていて、今は留守番のような形で店に立っています。
大内:
どれくらい前から、こちらにいらっしゃるんですか?
おかみさん:
40年くらいになりますかね。先代がいらっしゃった頃から勤めています。
今はご家族が遠方に住んでいるので、私がこうしてお店を見ています。
現在は先代のご家族が遠方に住まれており、長男の方が4代目を継いでいるとのこと。
それまでの間、この場所を守る役割を、おかみさんが担っています。
店内には、和紙や小物、羽織など、どこか懐かしさを感じる品々が並びます。
それらは単なる商品ではなく、この店が歩んできた歴史の一部でもあります。
大内:
お店の中で、特に見てほしいところはありますか?
おかみさん:
やっぱり建物そのものですね。柱も昔のままですし、並木家がやってきたものをそのまま残していきたいと思っています。
新しく何かを加えるというよりも、「残すこと」。
その言葉には、この店への深い敬意が感じられました。

お店に立つ中で、何よりも大切にしているのは、お客様との会話だといいます。
大内:
日々お店に立つ中で、大切にされていることはありますか?
おかみさん:
やっぱり、お客様との会話ですね。できる限りお話しするようにしています。
和紙や小物をきっかけに、昔の暮らしの話や思い出話が始まることもあります。
そうした何気ないやり取りが、この店の時間を形づくっています。

並木仲之助商店は、「まちぐるみ博物館」の参加店舗でもあります。
建物そのものや店内の品々が、この町の歴史を伝える展示の一部となっています。
大内:
佐原の町については、どのように感じていますか?
おかみさん:
この小野川の景観は大事にしていきたいですね。
新しいお店も増えていますけど、お互いに良い形で続いていけたらいいなと思います。
そして、お店のこれからについても、大きな変化を望んでいるわけではありません。
おかみさん:
新しく何かをするというより、今までのものをそのまま継続していきたいですね。
並木家の歴史を守っていきたいと思っています。
その言葉からは、この場所を預かる人としての静かな責任感が伝わってきました。

取材後記
並木仲之助商店には、「続けること」の意味が、静かに息づいていました。
新しく変えることだけが価値ではなく、これまで続いてきたものを、そのまま守り、次へと手渡していくこと。その営みを支えているのが、おかみさんの存在です。
建物の柱や空間、そして店に流れる穏やかな時間。そのすべてが、この町の歴史の一部でした。
小野川沿いを歩くとき、ぜひ足を止めて、この場所に流れる時間を感じてみてください。
