シリーズ「先生、飯盛研とまちづくりについて教えてください(第3回)」
先生へのインタビューも今回で最終回。
先生自身について、プロジェクトについてお話をうかがった後は、昨今問題となっていることについて先生のお考えをお聞きしました。
増山
最近、都市はますます元気になり、地方都市は人口流出などで寂しくなっているところも見受けられます。そのような中で大学が地域づくりで貢献できることは何でしょうか。
飯盛教授
大学にはいろいろな可能性があります。技術や知が生み出されるところですし、地域づくりに不可欠な人材育成の府です。また行動力のある若者が集まっているところですよね。地域とうまく結びつくことで何らかの課題解決につながると私は考えています。あと、いろいろな研究プロジェクトで体験していることですが、学生メンバーと地域におうかがいすると必ずいわれることがあります。それは、地域も世代も違う若者の視点で地域のよさ、魅力を再認識したということです。地域資源を見直すことにも役立っていると実感しています。さらに、地域の方々から、何かやってみようという気持ちが芽生えたということもよくいわれます。その結果、実際に何らかの地域づくりの活動が生まれることもあります。これも大学との関わりで生まれた変化といえるかもしれません。
増山
プロジェクトに関しては進めていくのが大変になってくる場面もよく見受けられます。どのように打開していけばよいのでしょうか。
飯盛教授
地域大学が連携して何かの活動を実践する際も、やはり効果的なプラットフォームをどのように構築していくのかという視点が大切です。授業でもよく議論するように、思いを共有しているコアメンバーを中心にしつつ、信頼やインセンティブ、役割などに配慮しながらいかに多くの方々に参加をいただけるかが問われます。また、いかに資源を持ち寄ってもらって運営していくのかにも目を配る必要があるでしょう。なかなか難しいことですが、授業で学んだことをベースに、いろいろな取り組みから得たエッセンスを参考にしながら、地域の方々と一緒に試行錯誤しながら歩んでもらいたいですね。
増山
今後のプロジェクト活動にいかしていきたいと思います。
最後に、学生と地域の方々、それぞれにメッセージをお願いします。
飯盛教授
飯盛義徳研究会では、各地での実践を通じて、地域における効果的なプラットフォーム設計に関する知の創造に挑んでいます。モットーは知行合一。躬行実践、自我作古の心意気を大切にして、「活用ある学問」を目指しています。ただ現状を調査、分析して終わりではなく、さらに地域の方々に寄り添いながら、多様な視点からの徹底した議論によって課題解決、未来創造につながる具体的方策に迫りましょう。
地域の方々に対しては、まずは一歩踏み出して、そして続けていっていただければということでしょうか。現在は著名になった地域づくりの活動でも最初の一歩はささやかなものであったことが多いのではと思います。思いを胸に一歩踏み出して、少数のコアメンバーによる学び合いの場を構築して、資源醵出を心がけるようにした上で多様な人々の参加を後押しするような仕組みづくりを検討いただければと思います。地域にはたくさんの宝、魅力があります。これらをいかして、皆さまの地域がますます元気になることを期待しております。