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前橋市元気プロジェクト 下半期活動報告 2021

はじめに

改めまして、2021年度前橋市元気プロジェクトリーダーの金井真歩です。早くも2022年に突入してから3分の1が過ぎましたが、いかがお過ごしでしょうか。実は大変申し訳ないことに、前プロの下半期活動報告を失念しておりました。遅ばせながらも報告をすることに意味があると思うので、GWを有効活用して報告させていただきます。どうぞ、ご理解くださいませ。

上半期活動報告でも述べたように、対面の活動が制限される中で、私たちは何ができるのか。(上半期活動報告をまだ見ていない方はこちらをチェック!)飯盛研究会のホームページを訪れてくれている全国の皆さんにとって、少しでも実りある報告となれば幸いです。

前橋市元気プロジェクト(通称:前プロ)って?

慶應義塾大学飯盛義徳研究会と共愛学園前橋国際大学の有志メンバーで結成。前橋市中心市街地(通称:まちなか)の魅力を再発見し、様々な実践活動を通して、地域の新たな価値の創出に挑む。まちのビジョンである「めぶく。」から「未来のまちづくりの担い手」づくりを念頭に、学生の相互成長に繋がる活動を目指す。JINS田中仁氏、共愛 大森学長、奥田教授、MMA橋本氏、慶應 飯盛教授らが活動支援。

前橋合宿の様子

プロジェクト発足当初(2018年)

さて、私がリーダーを務めた2021年度のゴールは 「現地の大学生(共愛生)のみで前プロを継続可能にすること」 でした。そのための取り組みを整理してみたところ、以下の3点に集約することができました。

①リアルの繋がりを大切に
②外部への発信とオープン性
③組織とメンバーのマネジメント

そこで、今回の下半期活動報告では、各項目で具体的に行なってきたアクションを説明すると同時に、研究会らしく研究チックなお話も合わせてお届けします。ボーリューム大なので、途中離脱も再入場も大歓迎。では早速、たのしくまいりましょう。

①リアルの繋がりを大切に

実際の現場を体験し、メンバーの活動に対する主体性を育む。これは、どの地域活性化プロジェクトにおいても必要な要素でしょう。そこで前プロは毎月開催されるまちなかでのイベント出展を下半期も継続。以下ざっくりと出展内容を紹介します。

■2021年9月:初のハイブリッド出展!

課外活動を制限されていたため、訪れた地域住民の方々がオンライン上の学生と雑談やゲームをすることができるブースの企画と運営を行いました。

オフラインはこんな感じ

オンラインはこんな感じ

オフラインとオンラインが融合したハイブリッドな空間を地域に提供しましたが、それにしてもカオス。笑

カオスを受け入れてくれる、優しいまちびとの方々

■2021年10月:ハッピーハロウィーン!

ハロウィンをテーマに、各々が仮装をしてお菓子を配りながら、住民の方々との交流を図りました。

ディ◯ニー好きが多い?

また地元の農家さんから頂いたかぼちゃで、子供たちと一緒にジャックランタンを作り、コミュニケーションの創出を試みました。

感染対策の”個包装”

『JINS』田中CEOと偶然の出会い

■2021年11月:意外な盛況、古本市。

読書の秋。ということで、東京都不忍ストリートで行われている「一箱古本市」を参考に、学生がいらなくなった本や漫画、雑誌を持ち寄って、古本市を開催しました。

全員集合でパシャリ

各メンバーが段ボール一箱に収まるように選別した本を持ち寄り、本を媒介にした新しい繋がりを生むことができました。

まちびとおすすめの本たち

ブースの装飾はいつも手作り

■2021年12月:気分はクリスマス♪

クリスマスに合わせて、松ぼっくりで小さなツリーを制作するワークショップを企画・実行しました。

ワークショップに子供たちも熱中

素敵な松ぼっくりツリーたち

また、サンタの格好をした学生が24人の住民の方々と「チェキ」を撮影。現像した写真を活用して、クリスマスまでの日数をカウントダウンするアドベントカレンダーの制作を行いました。

世代問わず楽しんでもらいました!

■2022年1月:新年のご挨拶。

前プロオリジナルの年賀状を配りながら、地域の方々に対して新年のご挨拶を行いました。

写真付きの年賀状

また、住民の方々と一緒に前橋に関する一句を記載した「かるた」を作成して、子供たちとかるた大会を開催。学生らしく遊び要素を盛り込むことは忘れないのがポイントです。

30枚のオリジナルかるた

寒い中、お疲れ様でした!

+@ ■2022年2月:年度末報告会の開催

2月には、上記活動を通して繋がった地域の方々を巻き込んだ年度末報告会も開催しました。

【第一部】の全体集合写真

直前まで現地開催を希望していたものの、コロナの影響で大学から自粛要請がでてしまいました。それでも諦めずにオンラインで第一部と第二部に分けての実施を決意。第一部でプロジェクト全体の活動報告を、第二部では仮想空間を活用してチーム別の活動報告を発表しました。

自主製作した仮想空間『前プロハウス』

新しい挑戦にも楽しみながら尽力した結果、合計参加者50人以上、満足度90%以上の大規模なイベントとして成功をおさめることができました。

【第二部】はアバター姿で集合写真

怒涛の紹介となってしまいましたが、いずれもまちびととのコミュニケーションが生まれやすい内容を心がけていました。リアルの繋がりを起点にした活動のメリットは学生のモチベーションが維持しやすい反面、一度参加しないと、活動に戻りにくくなってしまう部分もあるのかなと思います。そのため今後の離脱しかけているメンバーのフォローアップ体制をどのようにつくるかが課題になる気がします。がんばれ、後輩!

②外部への発信とオープン性

2点目に大切にしていたことは、外部への発信とオープン性です。若者がまちなかに足を運んでもらうため、公式インスタグラム『マエバシローカルプレス』を中心とした前橋の魅力発信を行なってきました。学生目線で作られたコンテンツは反応がよく、今ではフォロワー2500人以上を記録。市内外問わずプロジェクトの認知度を高めることに貢献しています。

そしてここだけの話、私はSNS運用に「裏」の目的を設定していました。それは、私たち飯盛研究会のメンバーが抜けた後も、現地の共愛生のみの活動にしないために、外部との繋がりを担保しておくこと。もしかすると、上半期活動報告で紹介した全体MTGの目的とも、繋がる部分があるかもしれません。

毎月30日は全体MTG(白丸は大人ゲスト)

上半期活動報告をまだ見ていない方はこちらをチェックしてね。

③組織とメンバーのマネジメント

最後の3点目に関しては、最も意識していました。どのように引き継げば、地域のプラットフォームとして機能し続けられるのか。まずは、下の図をご覧ください。

これは飯盛教授の師でもあり、地域づくりの第一人者である國領二郎教授らが発表した「プラットフォームデザインの主要変数」のモデル図です。そこでは、効果的な地域プラットフォーム設計において「現場のイニシアチブで進む取り組みが自己組織的に結合していくモデル」を志向しています。続けて、上の図の「コミュニケーションパターンの設計」に注目しながら、下の図をご覧ください。

これは、去年の今頃に目指していた前プロの組織体制です。プロジェクト全体のリーダーだからといって、各チームに対してイニシアチブを取るのではなく、あくまで現場のリーダーシップで取り組みを進めてもらうことを意識。一方でMVVの策定や外部を巻き込む全体MTG運営など、いわゆる「コミュニケーションパターンの設計」に注力しました。その結果、2つの図の類似性からもわかるように、2021年度は活動が止まることなく継続し、ゴール 「現地の大学生(共愛生)のみで前プロを継続可能にすること」 も達成することができました。

対面でコミュニケーションをとる機会も用意

残念ながら、前プロに関しては今後も活動継続の不安定さは残っていくでしょう。学生が運営主体を務める以上、メンバーの入れ替わりが激しく、リーダーも毎年のように引き継いでいく必要があるからです。しかし私は、不安定さ自体を「楽しむ」こと、その姿を下の世代に見せることが、結果的に活動継続と運営主体の引き継ぎを成功させた要因なのかなとも思います。「楽しむ」って、簡単なようで意外と難しい。2022年度の前プロがどのような道を歩むのか、これからも注目していきたいです。

参考

メンバー推移(2018年度〜2021年度)

メンバーの学年分布図(2021年度)

各チームの活動に巻き込んだ人数(2021年度)

大学別の全体LINE発言割合(2021年度)

おわりに

いかがでしたでしょうか?(ここまでたどり着いた方、お疲れ様でした!笑)

総務省が公表した「人口推計(2021年10月1日当時)」では、日本の総人口は前年比64万4,000人減の1億2,550万2,000人となり、過去最大の減少幅になっています。今後も減少は止まらないと考える中で、私は地域づくりの目的も、地域外から人を集めることから、地域間の隔たりをなくして人の流動性を高めていくことに変化するべきなのではないかと思います。本プロジェクトを事例として前橋以外の各地域で新しい活動がどんどん生まれて欲しい。そんな想いを胸に、拙い文章で失礼しますが、以上をもって前橋市元気プロジェクト下半期活動報告のまとめとさせていただきます。今後とも飯盛研究会が関わる地域の方々には、変わらぬご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

※緊急告知:前橋で「学生コンペ」を企画中!応募者求む!

2022年度8月某日、前橋のまちなかで学生コンペを企画中です!優勝者には、世界的に権威のあるホテルとして「The Best New Hotel in Japan 2021 」を受賞した『白井屋ホテル』の宿泊券を贈呈。詳細を知りたい方は公式インスタグラム『マエバシローカルプレス』のDMより、お気軽にお問い合わせください。

ホテル外観(出所:『白井屋ホテル』 公式サイト)

ホテル内観(出所:『白井屋ホテル』 公式サイト)