佐原で20年前から自主的にまちづくり活動に取り組む「佐原おかみさん会」
8月に佐原おかみさん会主催で行われたイベント「さわら・町並み・夕涼み」を佐原元気プロジェクトのメンバーでお手伝いさせていただきました!

そんなご縁があり、今回は佐原おかみさん会の立ち上げメンバーのひとりでもある平塚さんにお話を伺いました。

どのような思いで活動を立ち上げ、継続しているのか。
ぜひ記事をご覧ください!

活動のきっかけは女将たちが参加した市の勉強会

「佐原おかみさん会」や「まちぐるみ博物館」はどのような経緯で誕生したんですか?

昔の道具を展示する「街角博物館」というエリアを我が家に作ったのがはじまりです。
ある時亡き母が蔵の中にあった古いお雛様を街角博物館に展示したんです。
それを見て感動した伊能忠敬記念館の学芸員の方が、歴史ある古いお家に声をかけて「伊能家のお雛様」という展示を始めました。この展示は今でもお雛様の季節に行われています。
その後、市の観光課の方が国土交通省の事業で「佐原町ぐるみ博物館」を立ち上げることになりました。
そこで、商店の女将たちが集まって月に一度勉強会に参加していました。
大学の観光学の先生から話を聞いていろんなことを勉強したのですが、何よりも女将たちの横の繋がりができたのが大きかったんです。
それまでは挨拶だけの関係だったのが、「佐原を良くしたい」というような話ができる関係にまでなって。

補助金が出るのは1年間だったのですが、活動を重ねるうちに「まちぐるみ博物館を継続させないのはもったいない」という話になり、女将たちが立ち上がりました。私を含めた三人が中心となって「佐原おかみさん会」が発足しました。

「まちぐるみ博物館」の取り組みについて教えてください。

お家の「お宝」を展示して、店を訪れたお客様にご覧になっていただくという試みです。
始めて20年になりますが、店の女将たちが「お宝」について案内するなかで、街を楽しんで知ってもらい、また来たいと思っていただけるといいなと思っています。
博物館と言っても堅苦しくなくて、自分の家にあるものを見ていただくという感覚です。
我が家(福新呉服店)はたたずまい全体がお宝になっています。
江戸時代にタイムスリップしたように感じられる雰囲気が特徴の博物館です。

江戸から時代から続く地域に根ざした呉服屋さん

福新呉服店さんはどんな歴史やお店の特徴をお持ちなのでしょうか?

福新呉服店は江戸時代末期の1804年創業です。
基本的には呉服屋ですが、過去には質屋や布団屋をやっていた時代もありました。
元々は単物がたくさん置いてありましたが、最近はオリジナルの江戸小紋の手拭いや半纏(はんてん)とか、着物のリメイク品を扱っています。

最近は海外のお客様が増えたので、昔の日本の建物や道具を見てもらっています。
我が家は通りに面した入り口が狭くて奥行きがある、京都の町屋と同じ作りなんです。
昔は間口の大きさに応じて税金がかかったので、節税対策でこのような作りになっています。
明治時代に作られた入り口の扉が斜めになっていて、重さで自動で閉まるからくりとかも面白いですよ。
昔ながらの日本の空間を味わえる場所なので、海外の方も喜んでくださっているのかなと思っています。

地域と連携しながら20年目を迎えたイベント「さわら・町並み・夕涼み」

佐原まちぐるみ博物館以外に、おかみさん会はどのような活動をされているのでしょうか?

佐原まちぐるみ博物館の企画展として、雛めぐりと五月人形めぐり、お正月飾りのイベントがあります。季節感を大切にしてイベントを開催をし、お客様をおもてなししています。
あとは、8月の「さわら・町並み・夕涼み」ですね。
おかみさん会が発足した頃から開催しています。

佐原夕涼み会の風景

今回私たちがお手伝いさせていただくイベントですね!どのような背景で生まれたイベントが誕生したのですか?

女将は昼間にお店を営業しているので、夜じゃないと会議ができないんです。
夜の小野川沿いを通って会議に向かう時に、「こんなに素敵な街並みなのに、人が歩いてないのはもったいないね。もっとお客さんが来て泊まってくれたらいいね。」っていう話から、夏の夜にイベントをしようという話になりました。
「ゆかたで楽しむ灯りと音」というテーマで、今年で20回目になります。
浴衣レンタルを行い、井上美容室さんと連携して無料で着付けしてもらえる取り組みを続けています。
灯りも色々な手法を試してみて、今の小野川沿いに行燈を置く形に至りました。

佐原夕涼み会に並ぶランタン

女将を中心に、様々なまちの人が活動をお手伝い

今、佐原おかみさん会にはどのくらいの人が加盟しているのですか?

毎年増えたり減ったりしていますが、博物館は約40店舗あります。
そのうちおかみさん会に加盟しているのは20人。その20人のうち半分が女将です。
町も自分の店も元気になるために活動する「おかみさん会」だから、おかみさんが頑張らなきゃいけないと思っています。
最近は女将さん会には入っていないけど、サポートしてくれる街の人が増えています。
個人的に声をかけているのですが、「子どものいい経験になるから」と親子でボランティアとして参加してくださる方たちもいます。

今後おかみさん会の活動でやってみたいことはありますか?

今やっていることで手いっぱいという感じはありますが、人手があればイベントの時に学生さんたちのブースを出してもらったらいいんじゃないかという話が出たことがあります。
いろんな人たちが同時開催的に参加できたら、もっと盛り上がるのかなあっていう感じがしてます。
私たちだけでは難しいところもあって、組織をきちんと作らないと回らないのかなぁと思う部分もあります。
仕組みを工夫してうまくいく形を探りたいです。

これからの佐原にひとことメッセージをお願いします!

若い人たちが活躍する元気な町であってほしいなと思います。
今はどちらかというと年配の人が頑張っている感じです。
大学進学で佐原から出ていってしまう人が多いですが、やる気のある地元の若者たちに、まちづくりをもっと頑張ってもらえたらいいなって思います。

まちや館でのメンバーと伊藤さんの対談風景

いかがでしたか?
お話を聞きながら、江戸や明治の歴史から今の営みまでが繋がっていて改めて歴史を大切にしている街だと感じました。
また、そんな歴史ある美しい街並みを大切にして、盛り上げたいというおかみさんたちの強い思いと努力を知ることができました。
平塚さん本当にありがとうございました!