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ファミリービジネスプロジェクト2025年6月活動報告

ファミリービジネスプロジェクト2025年6月活動報告

こんにちは!ファミリービジネスプロジェクトです。
今回は、2025年6月に行なった、ケース教材作成のための企業訪問、取材についてのご報告です。

6月25日

ファミリービジネスプロジェクトは今年度、「岡直三郎商店」様のケース教材を作成します。岡直三郎商店は天明7年(1787年)から続く、醤油醸造の老舗で、本社を町田に構える企業です。この日は群馬県みどり市大間々町にある醤油醸造を行う醸造工場へメンバー7人で伺いました。

ファミリービジネスプロジェクト2025年6月活動報告

岡直三郎商店では日本古来の製法である木桶仕込みを230年以上続けているとのことですが、小川益男工場長のご案内のもと、仕込蔵「東蔵」を見学させていただきました。
私たちが見学させていただいたのは「東蔵」と呼ばれる仕込蔵で、2015年に衛生面の改善や設備の追加のためにリニューアルしたものの、建物は大正時代に建てられており、最大の特徴である木桶もそのまま使用しています。蔵に付着した醸造菌は醤油の味を決定する重要な財産だそうです。

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実際の木桶は二階ほどの高さがあり、発酵中のもろみを撹拌する「ならし」の作業を見学しました。この作業はもろみに空気を送り込むことで発酵を促進し、味や香りを安定させる重要な工程であることを教えていただきました。また、赤城おろしと呼ばれる冬の乾いた風や、赤城山系の中軟水など、気候や水といった自然環境がこの地での醤油づくりに今も適していることも大きな学びでした。

ファミリービジネスプロジェクト2025年6月活動報告
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工場見学後、「日本一しょうゆ」やその醤油を使った商品を販売する主屋に移動しました。ここでは、店舗の役割や地域との関わりについてご説明いただいた後、小川益男工場長に改めてインタビューを行いました。前回の取材で注目していた近江商人の影響についても、さらに深掘りすることができました。
お話の中では、創業時からの外部環境の変化に応じて商いの方法も変化してきたこと、同業他社の動向と向き合いながら自社の立ち位置を模索してきたことなどが語られ、商売の歴史そのものが会社の重厚な歩みを映していることを実感しました。
また、火災・災害時における物資の融通といった地域との助け合いの歴史的エピソードも紹介され、ファミリービジネスにおける「人と人とのつながり」の厚みが、企業の持続性を支えてきたことを再認識する時間となりました。
さらに、小川工場長からはご自身の入社直後から現在に至るまでの現場視点での会社内の変化、そして近江商人のスタイルがどのように地域との関係性に息づいていたかについて、具体的なエピソードとともにお話しいただきました。語り継がれてきた記憶の中に、制度や経営論では捉えきれない企業文化の核心があることを感じました。

今回の報告は以上となります。
引き続き、FBプロジェクトをよろしくお願いいたします!